Q:私の希望は天井にセンターユニットを設置した、24時間熱交換型計画換気なのですが、コスト高になるとの事でハウスメーカーからは各部屋に吸気口、排気ファンを取り付けた、自然吸気強制排気型を勧められています。どちらを選択した方が良いのでしょうか。建物は断熱材充填工法です。また、セントラル換気は配管内で結露した場合、カビが発生し、それを部屋中にばら撒いてしまうということを読んだことがあります。

まず、集中型の計画換気システムと各室で独立した換気方式とでは基本的な考え方が違います。建築基準法の改正(改悪)によって、機械による24時間強制換気が義務付けられました。この法律についての議論は省きますが、各室に吸気口と排気ファンを設ける方法は、この法規をクリアするためだけのものといってよいでしょう。

それに対して集中型の計画換気システムは、建物全体の内部環境をどのようにコントロールするかが問題なわけで、基本的にまったく違うのです。

建物は断熱材充填工法だということですので、高気密高断熱仕様の建物だと判断いたします。私の考えでは、高気密高断熱仕様の建物と集中型計画換気システムはワンセットです。この場合、単に換気だけではなく冷暖房を含めたエアコンディショニングとして考えます。換気システムと冷暖房を組み合わせ建物全体の内部環境をコントロールするのが理想的です。

各室で独立した換気システムを採用する場合は、冷暖房も各室独立して行うことになるでしょう。この場合、暖房(冷房)されている部屋とされていない部屋で温度差が生じます。高気密高断熱仕様の建物の場合、この温度差が大きくなり建物内に結露を生じさせる危険があります。高気密高断熱仕様の建物では、このようなことからも、建物全体で冷暖房を考えるべきでしょう。また、そのほうが経済的ですし、省エネルギーにもなります。

問題はコストだと思いますが、コストには建設時にかかるコスト(イニシアルコスト)と運転コスト(ランニングコスト)があります。ですから、建設コストが高くても、ランニングコストも含めた全体のコストでは低い場合がたくさんあります。

私の考えでは、お金をかけるところにはきちんとお金をかけたほうがよいと思います。建物の構造や設備は外から見えない部分が多いので、おろそかにしがちですが、むしろ見えない部分だからこそ重要だともいえます。これらは建物の根本にかかわる部分なので、しっかりとしておくことが必要でしょう

カビについてのご心配ですが、可能性として0とはいえません。ただし、きわめて可能性は小さいと思います。しかし、長期間機械を止めてしまうとこのような問題が発生する危険性があります。常に機械を動かしていれば、このような問題が発生することはないと思います。結露は温度差によって生じます。セントラル換気は建物内の環境を均質にするためのものですから、基本的に大きな温度差が生じることはありません。換気だけではなく、冷暖房も含めたエアコンディショニングとして考えなければならないというのは、このようなことがあるからです。また、結露は気流のあるところでは発生しません。ですから機械が動いて、空気が流れている間は結露しません

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