Q:家づくりでよい工務店を選ぶのは、重要なことだと思います。よい工務店の選び方を教えてください。

一番よい方法は経験豊富な設計者などに推薦してもらうことです。一般の方からの推薦もあると思いますが、専門家でないと分からない部分も多々ありますので、これを100%信用するのは危険かもしれません。

よい推薦が得られない場合は、工務店数社に見積を依頼するのがよいでしょう。見積というとどうしても金額が気になりますが、ここでの目的は信頼できる工務店かどうかを判断することにあります。(もちろん金額も大事です。)工務店の対応の仕方、見積書の内容が正確で細かい項目までしっかり拾ってあるかなどが判断材料となります。出来れば会社まで出向き、工事担当者などと直に話をするのがよいでしょう。会社の雰囲気も大切です。工事の途中で会社が倒産したりしたら大変です。きちんとチェックしましょう。

見積金額についてですが、高いのは困りますが、安いのも問題です。数社から見積を取り一番金額の安いところに発注するのが一般的ですが、これは考え物です。家電製品を買う場合ならば、値段が違っても製品の品質が変わるわけではないので、できるだけ安く買うほうが得だといえますが、建物の場合はちょっと違います。A社の見積が3000万円、B社の見積が2500万円だとします。(実際にはこんなに大きな差が出来るとは思いませんが。)どちらが建てても出来上がりにそれ程差があるようには見えないかもしれませんが、2500万円の建物が3000万円の建物になることはありません。2500万円の建物は、やはり2500万円の建物なのです。見積で重要なのは、見積金額が予算に合っているかどうかです。

もうひとつ重要なことは、工務店が直接工事をするのではないということです。工事をするのは大工さんや鳶さん、電気屋さん、水道屋さん、ペンキ屋さん、左官屋さん、経師屋さん等々、さまざまな職種の人たちです。いわゆる下請けということになります。それでは工務店の仕事は何かというと、工事がスムーズに行われるために工程などを管理することと、工事が正確に行われているかを現場で管理することです。工程に合わせて職人さんを手配し、資材などを発注することも重要な仕事です。当然コスト管理もしなければなりません。

その工務店が行っている工事現場を見ることも参考になるでしょう。ただし、同じ大工さんがこちらの工事もしてくれるとは限りません。ですから工事自体はあまり参考にならないかもしれません。工事そのものより現場管理がきちんとされているかを見るとよいでしょう。そのためには工事中よりも、工事が休みの時に行ってみる方がよいかもしれません。よい現場は資材や工具などがきちんと整理整頓され、清掃もきれいにされているはずです。

最近、分離発注といって工務店を通さず直に各職方に仕事を依頼するケースも増えてきました。この方がコストを低く抑えることができるということなのですが、工務店が果たしていた役割をだれがやるのかという問題が残ります。また、完成後のメンテナンスの問題もあります。その意味で工務店の役割は大きいと思います。

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